「滝沢ー、お前出てくるの遅ぇぞ!」



「ホームルームが長引いて……ってそうじゃなくて、なんでココにいるの!?」



「今日授業早く終わったから来てみた♪」



右手でピースサインを出してあたしを見た、涼山くん。



「あのね、涼山くん。気持ちは嬉しいけど、昨日も言ったようにあたしに今、好きな人がいるの!」



「知ってる。だからこうしてアタックしに来てるじゃんかよ」



「こう何て言うの……その人に誤解されたくないの!こ、困るの……わかる?」



「わかる!中学ん時そういう気持ちになったことあるから」



それって、あたしがそうさせちゃったんだよね?彼女がいたのにアタック……したから。



「まぁ、あの時も滝沢に少し気持ちがあったから、今の滝沢とは違う立場だけどな」



そうか。あたしもこんな気持ちにさせてたんだ。そして、少しだけ気持ちも動かしていたんだね。



これがあの頃だったら、泣いて喜んで涼山くんに飛びついていたんだろうな、あたしって。



でも、もうあの頃のあたしはいない。毎日、山下くんのために全力を尽くすあたししか、今はいないんだ。