「ねぇ沙良、毎回逃げられてるって気づいてないの?」



「何が?ただの照れ隠しでしょ?」



「本当に尊敬するよ、そのプラス思考」



ありがと♪と伝えて靴に履き替えたあたし。2人で玄関を後にした。



プラス思考にもなっちゃうよ!だって、山下くんが前よりも意思表示してくれるようになったんだもん。



これだけは絶対に自惚れなんかじゃないもんね!ふんっと鼻息を荒くしたところで、夏生が口を開いた。



「……校門んとこに変人がいる」



「え?山下くん!?」



「山下くんって変人だったの?」



「恋人(候補)♪」



「…………」



どれどれ、っと夏生の言う変人に目を向けてみた。……え?あれって。



「あっ!滝沢ー!」



下校中の生徒の目も気にせず、ぶんぶんとあたしに手を振る人物。



「アンタの知り合い?」



「き、今日話した元好きな人」



「なるほど。好き好きオーラ出てんね」



「あたしには山下くんがいるのに困っちゃうよ、まったく!」



あたしは慌てて、変人=涼山くんの元へダッシュした。