そして放課後。



「ね!あたしにはまだ山下くんを想うことに勝算があると感じたの!」



「うん」



「やっぱりさ、この恋は簡単に諦めきれないくらい成長したのよね~♪」



「ねぇ、この話、今日何度目かわかる?」



夏生にマイ恋バナをしながら教室を後にした。隣の夏生はうんざりしているわりには、一緒にいてくれている。



「あ!ちょっと待って!山下くんの靴箱チェックしてくる!」



「アンタそれ、変態の域に思うのはあたしだけかな?」



夏生の言うことを右から左へ流し、1年生用の靴箱へ向かった。



「山下くんは~っと、もう帰っちゃってるのか」



山下くんって本当に下校が早いんだよね。だから帰りは委員会の時か、里津くんと遊ぶ時くらいしか会わない。



今度からホームルームが終わったと同時に、教室を飛び出してこようかな?そしたら姿くらいは見えるかも!



「山下くんは?」



いつの間にか隣に夏生がいて、あたしは両手で大きなバツサインを見せた。