「男?」



「そう!さっき見ちゃったでしょ?あたしが男…涼山くんっていうんだけど、頭撫でられたのとか見ちゃってた!?」



「たまたま」



「ほらやっぱり~!それで妬いてる?もちろん妬いちゃったよね!?」



「妬くも何も」



「妬いたんだよね!あたしにはねっ……」



「妬いてない」



「や、山下くん」



「もう離して。彼氏が来てる」



彼氏?いないよ!?あたしには山下くんだけなんだよ!



「後ろ」



振り向くと、涼山くんが追いかけてきていた。もう!なんで来るのよ~!



「じゃ、これで」



「ま、待ってよ!マイダーリン!!」



山下くんはあたしの手をすり抜けてスタスタと歩いていった。



「追いついてよかったよ、滝沢!」



あたしは追いかけてきた涼山くんにあっかんべをして山下くんを追いかけた。だが、時すでに遅し。山下くんを見失ってしまったのだった。