「何でございましょ~う?」
つい上機嫌な声になって振り向いた矢先には、
「何だよ、その挨拶!」
お腹を抱えて笑うヤツがいた。
「…な、何笑ってんの」
「ははっ、今の挨拶で笑わねー奴がいたら知りてーよ!」
再びケラケラ笑うヤツ。あたしの上機嫌テンションは一気にぶっ飛んでしまった。
「な、んでここに?」
「お、その反応じゃ俺のこと覚えてくれてるみたいだな!」
覚えてるも何も…噂をすればとはこのことなのかな?
「滝沢のモーレツなアタック、今でも覚えてるよ!」
ニコッと笑うあたしの目の前にいるのヤツは、今日夏生との話題に出た昔あたしが好きだった人、涼山慶(すずやまけい)だ。
「なんで涼山くんがここにいるの?」
「あれ?俺、この近くの高校なんだけど?」
「うそ、そうだったの!?県外の高校だと思ってた!」
「俺こそ驚いたよ!滝沢も近くの高校だったのかよ!」