ガタッと鈍い音が響き渡り、

教室に響いていたグランドピアノのような余韻は消えた。

床に円周率の書いてある本が叩きつけられる。

風が本の臭いを運び

カーテンをゆらす。

そこはどこにでもあるような狭い普通の教室で、

私、ひとりだけが立っていた。






(3.14-サンテンイチヨン-、完。)