「甲斐、席に着け!」



宮田は俺の方向を指さした





(“甲斐”って事は…


出席番号順やったら俺の前か!?)





自分の前が空席だった事にこの時納得できた





甲斐がこっちへゆっくりと進んでくる



ただそれだけの事なのに俺は緊張していた





女子が一斉に注目している





「ヨロシクな!」



甲斐は俺に軽く会釈をして席に着いた





咄嗟の事で俺は言葉が出なかった…





(無視してもうたし…



気わるしてないかなぁ?)




やはり俺は小心者だった





目の前のサラサラの甲斐の髪の毛から



いい匂いが漂っていた…