また誰かにぶつかった。後ろを歩く人に荷物があたる。驚いて振り返ると、若い男がいた。
「あ、すいませ…」
「いーえ」
足に当たったようだ。どうしてこうもどこかしこに人が溢れているのだろう。
「あの」
後ろからまた声が飛ぶ。
「さっきスーパーで僕の後ろにいましたよね」
手にはピンクのマスコットのぶら下がった携帯を持っている。エスカレーターで前に立っていた男だ。
「あぁ、さっきの」
咄嗟にそう出たが言いながらやっと思い出した。今日は仕事でクレームを一件処理して本当に疲れている。ナンパ出来るこの男の気力が羨ましい。
「そうそう、さっき前にいたんです。見てましたよね、僕のこと」
見ていたといえば見ていたのかも知れない。あんまり覚えていないが目が合ったのは確かだ。幼い大きな目がじっとこちらを見ている。
「そうだね」
前を見て歩きながら仕方なくそう答え、重い荷物を右手に持ち直した。
一瞬の間。距離が近付く。
「やっぱり。目あいましたもんね。おねえさんタイプなんすよ。いきなりびっくりしたよね。あ、重そうだね、持つよ」
「いいよ」
「いーの」
「あ、すいませ…」
「いーえ」
足に当たったようだ。どうしてこうもどこかしこに人が溢れているのだろう。
「あの」
後ろからまた声が飛ぶ。
「さっきスーパーで僕の後ろにいましたよね」
手にはピンクのマスコットのぶら下がった携帯を持っている。エスカレーターで前に立っていた男だ。
「あぁ、さっきの」
咄嗟にそう出たが言いながらやっと思い出した。今日は仕事でクレームを一件処理して本当に疲れている。ナンパ出来るこの男の気力が羨ましい。
「そうそう、さっき前にいたんです。見てましたよね、僕のこと」
見ていたといえば見ていたのかも知れない。あんまり覚えていないが目が合ったのは確かだ。幼い大きな目がじっとこちらを見ている。
「そうだね」
前を見て歩きながら仕方なくそう答え、重い荷物を右手に持ち直した。
一瞬の間。距離が近付く。
「やっぱり。目あいましたもんね。おねえさんタイプなんすよ。いきなりびっくりしたよね。あ、重そうだね、持つよ」
「いいよ」
「いーの」