『俺の…大切な人』
先生の大切な人って!?
私が?!!!
「先生彼女いたの?!」
上谷も私と同じところに興味をもったようで、先生に再び問い詰めた。
「ばーか、大切の意味がちげーよ。」
「………。」
…そっか、そうだよね。
先生が私を大切に思うのは、執事として仕えるお嬢様だから…。
それだけのこと。
なのに…なんでこんなに期待しちゃったんだろう。
ほんの一瞬だけでも嬉しく思った自分がバカみたい。
先生の大切な存在になれた…って…。
「麻椿?どしたの?」
「…なんでもない。」
ぼーっとしていたのを、亜季葉の声で机の上に置いてある教科書に目を戻す。
はぁ…なんだかモヤモヤする。