「麻椿!!」


「会長!!」



扉を開けたのは、息をきらした田中だった。



「田中…。」



「すいません…遅れました。」



「あぁ、連絡きてるから。早く席つけ。」



まぁ連絡なんてきてないけどな。


実質俺が起こさなかったんだし。




「麻椿が遅刻なんて珍しいね。」



「ちょっと色々あって。」


こんなに急いで来るんだったら起こしてやればよかったな…。




「先生?どうしたんですか?」




教壇の前に座っている女子生徒の声で我にかえると、急に動きが止まった俺にみんなが不思議そうな顔をしていた。



「あ…すまん。」



学校では執事の仕事は思い出さないようにって思ってたんだけどな…。




最近田中と居る時間が長くて、あいつの姿を見ると教師じゃなくて執事として接してしまいそうな時もある。




「じゃぁ名前呼ぶからな。飯田ー。」



「はーい。」




このままではいけない気がする。



きちんと割り切れるくらいの気持ちをもって俺が変わらないと、いつかボロがでる。



そんな事になれば田中は当然傷つくだろう。



これ以上田中に負担がいかないように、俺が頑張らなきゃな…。