「ゴホッゴホッ…」




「冨田さん?大丈夫?」



「あ…おはようございます…。」




田中を起こそうと部屋の前まできたが、朝起きてから止まらない咳のせいでしゃがみこんでいると、永田さんが俺にかけよってきてくれた。




「大分辛そうね…今日は休んだら?」



「これくらい大丈夫ですよ。」



自分に出来る最大限の笑顔を作り、ゆっくりと立ち上がる。



すると、今までに体験した事のないような身体の火照りと視界のぐらつきを感じた。




これは…相当やばいな。


「失礼します。」



だが、そんなことは言ってられない。



俺にはお嬢様の世話をする義務があるし、それに学校に行ったら生徒もいる。



風邪ごときで休んでられるか。




永田さんにお礼を伝え、そのまま田中の部屋の扉を開けた。