でも、いくら耳を塞いでも父さんの言葉は私の耳に流れ込んでくる。
『大学』『アメリカ』『社長』『自覚』
一つ一つの言葉が私の胸に刺さってきて苦しい。
なんで…なんでこんなめにあわなきゃいけないのっ…!!
「うっ…ぐすっ助けて…」
私の頬に涙がつたっていく。
次の瞬間、「大丈夫ですよ。」と優しい声と共に、誰かが私に手を差し伸べてきた。
恐る恐るその手を握る。
すると、その人はまるで私を助けるかのように走り出した。
「ありがとう…。」
そう呟くと、足を止め私に微笑み近づいてきた。
そして、ゆっくり私を抱きしめてくる。
この匂い、知ってる。
毎日のように感じているこの匂いの存在。
「先生…なの?」
私を助けてくれた人物…。
それは先生じゃないかと思った。
正体を確かめようと顔をあげると、また全ての物が消え真っ暗になってしまった。