家に入ると、田中の帰りを待っていたメイド達が出迎えに来たが、寝ている姿を見て静かに持ち場に戻っていく。
「麻椿様はあなたを信頼してるようね。」
すると、メイド達と共に出迎えにきていた永田さんが俺をみて微笑みながらそう呟いた。
「誰かの背中で寝るなんて初めてよ。」
「…そうなんですか?」
てっきり小さい頃とかに俺のじいちゃんの背中で寝てると思ってたな…。
「えぇ、あんなに近くにいた上田さんにだってしてないんだから。」
永田さんは話しながら田中に近づくと、優しく頭を撫でてから頬に手を当てた。
「この子、また強がったのね。」
「え…。」
田中の顔をみただけで真実をズバリ当ててしまった永田さんに驚くと、彼女はまた微笑みながら俺を見る。
「麻椿様の事はあなたに任せるわ。」
「…僕で大丈夫でしょうか?」
「あら、私は出来る人にしか頼まないわよ?ふふっ」
「…解りました。やってみます。」
永田さんに元気を分けてもらった俺は、失礼しますと頭を下げてから、また田中の部屋まで歩きはじめた。