先生の言葉を無視して帰り道を歩き出すと、後ろから手を引っ張られた。
「わわっ…!!」
「お嬢様、怒りますよ?」
ゾクゾクッ…
耳元で囁かれる低い声に身体が反応する。
「ちょ…ちかい…。」
「お嬢様が大人しくして下さるなら離れてもいいですよ。さぁ…どうしますか?」
「!!!!!!」
先生はまるで私の反応を楽しんでいるように、耳に軽く息を吹きかけてくる。
「ーーっ!!解った、解りました乗ります!!」
本当は先生の思うつぼみたいで納得がいかないが、身体から力が抜けるよりは何倍もマシだろう…。
「こんの変態執事が…。」
「何か言いましたか?」
「いえ何も、はははっ。」
そう言って私は先生に負けないぐらいの不適な笑みをしてみせる。
まぁこんな事で動揺する先生じゃないことは知ってるけどね。
「では参りましょう。」
「……はい。」
そして先生に誘導されるまま、ゆっくりと体重を背中へと預けた。