用件だけを告げ、電話を切った先生が私の前にしゃがみ目を合わせる。
「帰りましょう。あなたの帰りをみんな待ってますよ。」
「みんな…?」
「はい。シェフが暖かい飲み物を、メイド達がお風呂の準備を。
みんな、お嬢様の笑顔を見るために自分達が出来る事をやって待っているんです。」
「そんな…なんでそこまで…。」
「話しは帰ってからにしましょう。
…ではお嬢様、お乗り下さい。」
涙をこらえるために空を見ていた顔を下にむけると、先生が背を向けていた。
「…何に?」
「私にです。」
え…っと、それはおんぶという事かな?
まさか家までの道をおぶって帰るとでも言うの?
「断固拒否します。」
そうでなくとも疲れているであろう人にそこまで迷惑をかけるのは、私の良心に反する。
とゆうか自分で歩けるし…。