田中が戻ってきていない?




「すでに食事会は終了したという連絡が入っているんですが、一向にお嬢様の姿が現れないとの事で…。」




「解りました、直ぐに支度します。」




持っていた荷物を投げ捨て、タキシードに袖を通す。




教師から執事へ。




田中からお嬢様へ。




一番近くで支えてやれる存在になるために、しっかりと身だしなみを整え、最後に眼鏡を外した。





「行ってきます。」




「お嬢様をお願いします。」





ドアに手をかけ、俺はレストランに向かった。