「ごちそう様でした。」
それからも父さんは私の将来の話しをし続け、会計をしたのは九時を過ぎたところだった。
お互い席を離れ、向かい合う形で立つと父さんは私の頭に手を置いた。
「今度は家で、家族三人で食べような。」
そう言って、くしゃくしゃっと頭を撫でる父さんの姿はとても優しかった。
「はい、待ってます。」
その姿に、私は微笑み返し答えた。
「じゃぁな。」
「さようなら。」
お別れの挨拶をし、父さんはレストランを出て行った。
「……帰らなきゃ。」
父さんの姿を最後まで見送り、私も車へと歩き出した。