「今からでも間に合う、急な用事とでも言って断ろうか?」
とても心配そうに私を見る先生。
もしかして、朝から心配してくれてたのかな…?
「いえ、大丈夫です。」
でも、先生のその優しさには答えられないよ。
いや、だからこそのほうが正解かもしれない。
今ここで一度はOKを出した食事会を先生の優しさで断れば、間違いなく執事である先生の信用がなくなる。
そして、それだけじゃなく伝統ある執事一家と呼ばれている先生の家族に泥を塗る事になる。
そんな事、私は絶対出来ない。
「でも…お前…。」
「何でもないですよ、食事くらい。」
心配そうな顔をする先生に、安心してと言わんばかりの最大級の笑顔を向ける。
「田中…。」
安心して先生。
私の執事になってくれた先生に、迷惑をかける事だけは絶対しないから。
私が我慢したら全てが丸くおさまるんだもん。
だったら、憂鬱でもなんでも私は頑張るよ。