私のおでこをもう一回叩いてから、先生はソファに座った。
「はぁ…まさかお前が田中財閥のお嬢様だったとはな。正直驚いたよ…。」
「…何言ってるんですか。私だって驚きですよ。上田の孫が先生だなんて…。」
私と先生はただの高校の先生と生徒の関係でしかないはずだったのに、まさかこんな展開になるなんて誰が予想したんだろうか…。
先生と生徒がまさかの執事とお嬢様の関係…。
ありえない、ありえなすぎる……。
誰か私に恵みの手を…。
「俺も驚きなんだよ、いきなり伝統ある執事一家とか言われてさ。」
「そう…なんですか。」
「で、お前いいのか?このまま俺が執事になって。」
いいのかって…お父さんが決めた事は絶対なのに、それを変えられる事なんてできるはずがない。
お父さんの言いつけは絶対で、破ってはいけない。
それが田中家の家訓なんだから…。
「俺もお前のお世話なんてまっぴらごめんだ。だから執事は別の人にするようにお前から言ってくれ。」
はい?
何か今すごいムカつく事言われた気がするぞ…。
お前のお世話なんて…?
「は…はははは…。」
「え?」