ガチャン……




「………何の冗談だ。」





「…何がですか?」




今までの驚いた表情とは打って変わって、私に話しかけた冨田さんは厳しい顔をしていた。




さっきとは違う異様な空気が二人の間に流れるのを感じると、私の笑顔も段々と薄くなっていく。



そして、五メートルはあっただろう私達の距離が、冨田さんによって数十センチの距離までに縮められていた。




「どうして驚かない、田中。」




「………。」




「なぜ、俺に何も質問しない。」





「ちょっと、何やってるの!!近すぎる!!」





私の顔を覗きこむように顔を近づけてくる冨田さんとの距離は、もうないに等しい程だった。





あまりの顔の近さに恥ずかしくなり目をそらすと、下がっていた顎を冨田さんの手により上にあげられた。









「おい、目そらすな。こっちを見ろ。」