「今日から、お嬢様の執事として仕えさせていただきます冨田雄輝と申します。いたらない所もあると思いますが、これから宜しくお願いいたします。」
「…冨田、雄輝…。」
私が名前を呟くと、彼と上田が私に視線を集中させる。
「お嬢様、お解りのように雄輝はあなた様の…」
「そう、冨田さんと言うんですね。もう知ってると思うけど、私は田中麻椿です。今日からお願いしますね。」
「「え……。」」
「上田、また遊びに来てね。あなたは私の家族のようなものなんだから…。」
「は、はい。有難うございます…。」
きっと、初めてだろうな…上田のポーカーフェイスが崩れたのは。
「じゃぁもういいわよ。お疲れ様。」
「はい…失礼します。」
驚きと焦りを少しだけ見せながらも上田は私に一礼し、そして、冨田さんと目を合わせてから、部屋を後にした。