「せんせ……?」






うっすら開けた目でこっちを見る麻椿。





今にも抱き締めたくなるほど愛おしい。







「起きた?おはよう。」






「ふふっ…新婚みたいだね。おはよう先生。」






あぁそうだな。





これからもっともっと新しい事が増えていくだろう。






恋人とは違う、夫婦としての新しい事が…。







「楽しみだな、これから…」






頭を撫でながら微笑む。




すると、そうだねって言いながら麻椿はまた眠ってしまった。






安心しているようで、その顔は少し微笑んでいた。











理屈じゃない、この気持ち。





それは紛れもなく麻椿が教えてくれたものなんだ。






不器用で素直じゃなくて強がりで。





でも本当は人一倍寂しがりやで弱いんだ。






その姿をみてると、つい守ってやりたくなる。






だから、これから俺はお前の事を全力で守るよ。






お前が泣かないように、寂しくならないように。





ずっと隣にいるから。






だから、お前も離れんなよ?






まるで誓いのキスをするように、眠っている麻椿に優しくキスをした。







「おやすみ、麻椿…」










∴∴*∴∴*∴∴
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∴∴






「亜季葉、手紙来てたぞ。」





「私に?」





「ああ、冨田って人から。」






「麻椿だ!!!」







優しいピンク色の手紙。




そこには綺麗な字、それと……。





「何ニヤニヤしてんの?浮気?」





「違うよー、嬉しいの!!」





良かったね、麻椿。





幸せな生活を送れてるんだね。





苦しい事、沢山我慢してきたんだもん当然の幸せだよ。







「俺達も負けてらんないな。」






「ふふっ、そうだね!!」








私も負けないくらい幸せだよ。








***∴*∴*
**∴*∴*
*∴*∴*
∴*∴*
*∴*
∴*






「晃平、何笑ってるの?」




「んー?幸せそうだなって。」






久しぶりに見た会長の字は相変わらず綺麗で、それと……。





「わぁ…素敵な写真だね。」





手紙に同封された写真。




優しい笑顔で移っているその写真からは沢山の愛情が伝わってくる。






「幸せそうだね……ちょっと羨ましいや。」





「俺達も負けてられないな。」





「え?」






「結婚、しないか?」





「―――っっ!!!うんっ!!」






会長、君への想いは届かなかったけど、今は俺を受け入れてくれる大切な人ができたよ。






会長達に負けないくらい幸せな家族を作ってみせるよ。






会長、今幸せか?






俺は、最高に幸せだよ。












光が差し込む朝の窓。





カーテンを閉めていても光輝くその眩しさは、私を優しく起こしてくれる。






「今日もいい天気だぁ。」




窓を開けると、少しだけ肌寒い風が吹いた。




もうすぐ秋だね…。






「おい、風邪引くぞ。」





「あ、先生…起きてたの?」





「いや…今起きた。」





先生は私に自分の服をかけて、顔を近づける。





毎日の日課だったりする、おはようのキス。





朝から幸せを感じる瞬間。





「麻椿、おはよう。」





「おはよう先生。」






「もうそろそろ起きるかな…。」






「そうだね、ベッド行こっか。」











窓を閉め、先生と並んで歩く。





私達の愛しい人の元へ。





「んんー…」





「ははっ、可愛いな。」





寝息をたてながら寝返りをうつ君に先生は目を細める。






もうすっかり、パパの顔だね。






「ほら、そろそろ起きろよ。」






頭を撫でながら先生が声をかけると、少し微笑んだ気がした。






駄目だよ先生。





それ逆効果だもん、安心して更に夢の世界にはいっちゃうよ…?







「今日は土曜日だし…私達ももう少し寝る?」






「んー…そうだな。ゆっくりしようか。」







大切な君を挟むように布団に入る。






二人で君の胸元等辺に手を置き、微笑む。






こうしていると、最高に安心する。












「好きだよ、麻椿。」





「うん…私も好き。」





先生と結婚してから、素直になる大切さを更に知った。






気持ちを伝えるのは、どんな事より大切なんだよ。






大きくなったら、ちゃんと君に教えてあげるね。






強がらなくていいんだよ、とか。






沢山沢山教えてあげる。





「目が覚めたら散歩でも行こうか。」





「うん、三人で手繋いでね。」






「あぁ、そうだな。」














そして君に大切な人が出来たら、隣にいる大切さを教えてあげたいな。






辛い時も悲しい時も決して離れちゃいけないよって。






パパとママみたいに離れちゃ駄目だからね。






ギュウっと、先生が私の手を握る。





私もそれを握り返し、逆の手で君の手を包み込む。







「おやすみ、永愛」





「早く起きろよ?」





「ふふっ、そうだね。」






永遠の愛が続きますようにと先生とつけた、女の子らしい永愛(とあ)という名前。






永愛が産まれた後、先生は次は男がいいなって言ってたっけ。






男の子だったらどんな名前をつけてあげるんだろう。





私達の生活はまだ始まったばかり。






まだまだ楽しみな事が沢山あるね。






悲しい時も辛い時も、そして嬉しい時も隣にいるのは、先生なんだよ。





そして、永愛とこれから産まれてくる子供と…。




どうか幸せな夢が見れますようにと祈りながら、私と先生は目を閉じた。






愛してるよ、先生。







『新しい家族が増えました。


  冨田 雄輝・麻椿・永愛』








【END】




第二作目『先生と執事』どうだったでしょうか?



『先生と教官室』とはまた違う恋の形で書いているのが楽しかったです。




そして難しくもありました。




個人的には上谷と先生のやりとりが書いていて楽しかったです。





是非みなさんの感想を聞かせて下さい。





では、お付き合い有り難うございました!




『先生と教官室2』も良かったら読んでくださいね!!






2012年2月24日*伊菜




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