「はい、本日をもちまして退職させていただきますよ。」
「じゃぁなんでここに……。」
「話しは中でいたいしましょう。どうぞ、お嬢様。」
「あぁ…ありがとう。」
今朝でお別れだと思っていた上田が私の前に現れたことはかなりの驚きだったけど、どこか嬉しさも感じていた。
仕事で忙しい両親のかわりにいつも傍にいてくれた上田は、私のなかで家族も同然で当たり前の存在だったから…やっぱり急にいなくなっちゃうのは寂しいんだよね。
「お嬢様、もう少ししたら新しい執事が参ります。」
「…そっか。」
私が寄り道もせずに帰ってきた理由。
それは今日から仕えてもらう私の執事の事を早く見たいという興味なのだ。