ブー…ブー…ブー……
「もしもし?会長?」
『あ、上谷!!こっちこっち!!』
「…何やってんだお前。」
朝、暗い顔をしていた会長が今は明るく笑っている。
それに、朝学校で会ったはずなのに授業にはでてなかったし。
色々な事が疑問に思えて、まだ状況をうまく把握できない。
…ただ、あの様子だと会長はもう元気になったのだろうか?
『ごめんね、急に場所変えちゃって…。』
「…もう電話じゃなくていいだろ?」
『あ、うん。』
校門から一歩離れた所に立っている会長の前に自分も立つと、小さい段差があるせいか二人の身長差がいつも以上に感じられた。
昔は同じくらいの目線だったのに。
いつのまにかこんなに変わってたんだな。
「…話しあるんだろ?中庭でも行くか?」
「あ、いや…学校はもういいや。」
学校はもういい?
どういう意味なんだ?
「一緒に帰ろう、上谷。」
「………おぉ。」
下から俺を見上げた会長は、少し笑ってから俺の前を歩きだした。
…なんだよ、全然元気じゃねーじゃん。
また我慢してるってわけか?
あのさっきまでの笑顔は嘘だったと。
それに、さっき見えちゃったしなー。
真っ赤になってる目と涙の跡が。