長い廊下を走り抜け、階段をも凄いスピードでかけおりていく。
軽い足取りで進んでいったその先には、もう下駄箱が見えていた。
「麻椿、ファミレスでいい!?」
「え…あ、うん!!」
「やった!!私一回でいいから麻椿とファミレス行きたかったんだぁ。」
そう言いながら振り向いた亜季葉に息をのむ。
今まで見てきた中で一番の、最高の笑顔…。
「おい!!?お前達どこいくんだ!!」
「っっやばい!!麻椿、走るよっ!!」
「うんっ!!」
必死に追いかけてきた先生を後ろ目に、私達はファミレスへと走りだす。
さっきと同じように、亜季葉が私の手を力強く引っ張りながら走ってくれる。
「……さよなら。」
「え?なに?」
「ううん、何でもないよ。」
走りながら通り抜けたこの門を、私はもう通る事はないだろう。
ありがとう。
沢山の思い出を、出会いを。
この学校が、みんなが大好きだけど、私は今日で辞めようと思う。
そう決意したから…。
「もうすぐだよ!!」
「ん…。」
楽しそうな亜季葉の後ろで、一筋の涙が流れたのは内緒……。