コンコン…
「どうぞ。」
「失礼します…。」
理事長室に入って周りを見ると、そこには親父以外誰もいなかった。
「よく来てくれたな、雄輝。」
「何だよ親父、急に呼び出してさ。」
かけていた眼鏡をはずし、ネクタイを緩めてからソファーに身を投げた。
「お前なー、誰もいないからって直ぐだらけるな。」
「いいだろ?普段は優等生を演じてるんだから。」
そう言って、クッションを握りしめながら親父を見ると、怪しい表情をしていた。
これは…何かあるぞ。
俺に危険が迫っている気が…。
「雄輝、本題に入る。」
「あ、あぁ…。」
俺と同じようにソファーに座った親父の手には、一枚の紙がおさまっていた。
「お前には、今日から執事の仕事もしてもらう。」