『好きなようにしていいから』



「………。」



自分の中にある感情に気づいた瞬間、じぃちゃんの声が頭に響いたように思い出された。



俺の好きなように…。





少し離していた田中との距離を縮めようと歩みを寄せる。



その様子に田中は気づく気配がなく、ただ泣いている。



もう泣かないでいい。



俺の事でそんなに悩まなくてもいい。



大丈夫だから。



そんなに簡単に壊れたりしないから…。



ただ、はじめてなんだ。


こんなに人を守りたいと思ったのは。



だから…。



ギュッ




「せ…せ…?」




笑って、麻椿…。