静まり返った室内で、ただ一つアップルティーの匂いだけが優しく香っている。



さっきまでは落ち着いて話していたはずなのに、俺は田中に怒鳴ってしまった。



家ではもちろん、学校でも一度も怒鳴った事のない俺が…。



その事に相当驚いたのか、田中は毛布から顔を出して俺を見つめていた。


…やってしまった、という後悔が俺を襲ったのは言うまでもない。



「申し訳ありません…驚かせてしまいました。」


「……いえ。」



でも、解ってほしい。



俺がここまで乱れる理由を…。



「お嬢様。」



「なんですか…?」



相変わらず俺の目だけみない。



でも、今はそれでもいい。



話しを…俺の気持ちを聞いてほしい。



ただそれだけだから。