とりあえず、この嫌な雰囲気を断ち切ろうと紅茶に手を伸ばした。



何故かじぃちゃんに指定されたアップルティーの葉。



それをお湯にあて、ゆっくりとカップにいれる。



すると、甘い良い匂いが部屋を包んだ。




「どうぞ、アップルティーです。」




「……ありがとう。」




ダメ元でいれてみたアップルティーを、田中は拒否らずに受け取ってくれた。




それだけのことなのに、今は何だか嬉しく感じる。




あぁ、俺はまだ執事として働けているという実感なのだろうか。




それとも……。




「冨田さん。」



「え、あ、はい…。」




考え事をしてしまっていた俺は、田中の呼びかけにワンテンポ遅れて返事をした。