少しからかう様に言った俺の挨拶を聞くと、田中は不機嫌そうな顔を見せた。



「…帰ったと思っていました。」



そして、不機嫌な田中がやっと発した言葉に棘を感じたのは言うまでもない。



「帰りませんよ、私こう見えて往生際が悪いものですから。」



「そうみたいですね…。」


さっきとは違って、お互い落ちつきながら話せている事に安心だ。


てっきり俺の姿を見たら拒絶したりするのかと思ったんだけど…。



「…で、私に何かようですか?」



寝ていた身体を起こすと、田中は今までにないほどの冷たい声で俺に問いかけてくる。



こいつ…こんな声でるんだな。




「えぇ…そうですね。」



新しい田中を知れて嬉しいような気はするが、それが俺に対するものだと思うと全然嬉しくはない。