「お嬢様。」
「ん……。」
向かいのソファに座っていたはずの上田は、いつのまにか私の目の前に来ていて、そっと毛布をかけてくれた。
その毛布の温もりは、私の眠気を更に増長させる。
「初めてですね、思っている事をおっしゃって下さったのは…。」
「…そうだっけ。」
「そうですよ。お嬢様は我慢してばかりでしたから。」
我慢してばかり…。
きっと、そんな事はないだろう。
皆から隠れるように泣いてばかりいる私は、我慢などできていない。
「泣いてもいいですよ。」
「え……?」
「我慢など必要ないのです。
それに、泣くという事は弱いと同じではありません。時には泣く事が強い事なんですよ。」
強い?泣く事が?
そんなの初めて聞いたよ。
「人間誰しも弱いものなんです。強いものなどいないんですよ。」
「……上田。」