持っていた鞄を力強く握りしめる。
「先生、風邪ひいてるんでしょ?辛いんでしょ?だったら正直に言えばいいじゃないですか。」
「………。」
「私には弱みを見せろとか言うのに自分は隠すんですか?そんなのおかしいじゃないですか!!!」
笑っていた先生の顔は、私の言葉を聞いていくにつれてどんどん消えていった。
そして、今までこんなに怒った姿を家のものに見せた事がない為か、仕事をしていたメイド達が足を止めて私達を見つめた。
「…お嬢様。」
笑顔が消えた先生は、静かに私のもとへと歩みを寄せてきた。
その声に反応してメイド達は再び仕事を始める。
「私はあなた様の執事という存在です。」
「…だから何ですか?」
「私はあなた様のお世話をするのが仕事なんです。私情を挟む事はできません。ですので、私の事は気にせず普段通りお過ごし下さいませ…。」
……何をいいだすかと思ったら…仕事?気にするな?
何なのよそれ…。