びっくりした…汗か。
ふいにこぼれてきた水滴が汗という事に安心し、小さく息を吐く。
涙は私にはあわない。
いくら上谷に強がりと言われようが、この性格を変える気はない。
…でも、一瞬…さっきだけは涙が流れそうだった。
ふと見た上谷の姿に、夕日のまぶしいくらいの光が重なって、何ともいえない暖かさが私の中にながれこんできたのだ。
そして、オレンジ色に輝いた上谷の目は何でも見透かしているようで、その場に居るのが怖いくらいだった…。
「はぁ…。」
上谷のせいでこんなに疲れちゃったじゃないか。
まぁ、あいつなりに私を心配してくれての行動だと思うけど…。
「帰りますか…。」
落ちついてきた身体を再び動かし、私は家に向かって歩いた。