「そう、良かった」

安心したように笑うお母さんに
私はそれ以上何も言わなかった

いや、言えなかったんだ

だってお母さんは何も知らないから
私とシュウの関係を……


まださっきのことが頭に残る
体にちゃんと残ってる、

私はお母さんの横で野菜を渡す手を止めていた

「ちょっと!ほら、渡して」

「あ、ごめん…」

「何?考え事?」

ドキっとする、突然そんなこと聞かれたから

「え!違うよ……」

前髪を整えて、動揺してるのを隠そうとしたら
お母さんが顔を覗きこんできた

「ほんとかなぁー?」

ふふっと笑うお母さんに私は困った顔をした
たまにこうやって、無邪気にこんなこと言い出すんだから…

「リサって嘘つくの下手だからなー」

「そんなことないよ」

「そう?でもリサは嘘つくときは前髪触るからさ」


え……

私は髪を触っていた手をさっと下ろした