お母さんを追いかけるように私は台所へと向う

ビニール袋を持った時に隙間からみえた具材で
なんとなく、カレーかなと思った

「鍋出しとくね、カレーでしょ?」

「え、よく分かったね!ありがとう」

驚くお母さんに、思わず笑ってしまう

お母さんは感心しながらも、さっとエプロンを付けると
まな板と包丁を手に取っていた

どんなに忙しくても料理だけは手を抜かない

お父さんが亡くなってから
元気がない私に、お母さんの料理は小さな支えになってた

私よりも辛いはずだったのに、
涙のひとつも見せずに働くお母さんに

私は尊敬したし、逆に悲しくもなった


お父さんが居た頃よりも、笑顔が少なくなったのが分かったから


私のことばかり考えてくれるから、
お母さんの幸せを奪ってる気がしてた…


でも、シュウのお父さんと出会って
前よりも笑うようになったと思う


ほんとに、幸せそうに…