「馬鹿な…八極拳は王者の拳だ!
貴様如き匹夫が、真似してよいものではない!!」

神速が如き速さで、亮の右側へ回り込み…

「鉄山…靠っ!!」

背中から体当たりをして来る!

亮はその動きを視認しながら、ワンテンポ遅れて、全く同じように再現する。

地響きのような震脚!

ぶつかり合う両者の背中を中心に、空気が、大地が、爆発的振動を起こす。

「うぉっと」

やや前へつんのめる亮、両者の勁力の差は、もはや僅かなものであった。

「………」

初見の技を即座に真似た亮を、茫然と見つめる燕。

「………名前」

「は?」

「名前だ!
貴様、名はなんという?」

「亮…大塚亮だ」

「亮………
ならば亮!
貴様を…認めよう」

「あ゛?
なんだって?」

「己(オレ)の打を三打も受けてまだ無事でいる
あまつさえ、見ただけで八極拳を真似るその能力
貴様も、王者の格であることを認めよう!」

「…そりゃどうも」

「だがしかし!
王者は常に一人!
貴様を認めはしたが…否、認めたからこそ、貴様の存在を赦すわけにはいかん!
八極拳士は一撃で相手を倒す…
が…、貴様だけは特別だ!最高級の大爆発の連撃!
人の身で受ける愚かさを知れっ!!」

「…あ〜〜〜…なんだかよくわからんが、本気で来るってことだよな?
ヘヘッ、なら…こっちも望むところだぜ!」