「ええい!
偶然だ!」

地響きのような震脚――攻撃する際に大地を踏み込む八極拳独特の動作――!!

「憤っ!!」

そのまま、大八極――八極拳の套路の一つ、套路とは、様々な技を組合せた一連の動作、空手で言う型――の中の打開の態勢へと入り、燕は、足を大きく開き、低く構えた体勢で中段への掌底を打ち放った!

「ぐおぉぉ!!」

それを受けた亮は、ズザザザ〜〜!っと、地面に跡を付けながら、後ずさる。

「ヒュウ〜♪
これまた凄ぇ一撃」

「くっ!…」

前回は、一発で視界外まで吹き飛んだ亮が、今回は数m後ずさっただけ。

「発勁の技術すらも真似たというのか!?」

そう、亮は、目に見えない氣の流れすらも、動きを見ただけで真似てしまったのだ。

今回は、発勁を応用した防御、最初に燕が亮のパンチを防いだ時に使用した技術を真似たのだ…。

「へっ、そのままお返しするぜ!」

地響きのような震脚!!

「フンッ!!」

そのまま、大八極の中の打開を放つ!!

「クゥッ!」

僅かずつだが、亮の勁力が上がっている。

ただ真似るだけではなく、確実に己がものとして、あまつさえ、進化していく。

オリジナルを越えるコピーそれが、《技能摸写(スキルダビング)》の真髄である。