「ヘヘ、見様見真似にしちゃあ、なかなかサマになってるだろ?」
その、まるでミサイルの発射台のように、ドッシリと安定した破壊力を秘めている構えは、燕のソレと寸分変わりはなかった。
「八極拳は“引き出しにない”からな、絶好の先生を見付けたことだし、今日マスターして帰らして貰うぜ」
「何をふざけた事を…」
こめかみに血管を浮かべ、怒り心頭の燕。
その、彼の眼前に、突如急接近して来る亮。
10の距離を一瞬にして0にする、八極拳独特の歩法、活歩。
「フンッ!!」
先程、燕が行った動きと全く同じ動き、燕の水月に、裡門頂肘を叩き込んだ!
「破っ!!」
それを、発勁で弾く燕。
勁と勁によるぶつかり合い、その爆発音は筆舌に尽くし難い大きさ。
「っとと
流石に勁力はアンタのが上か…」
ややよろめいた後、再び構えを取る亮。
「………信じられん
裡門を一目見ただけで真似ただと!?」
自分の放ったものに比べたら流石に威力は劣る、が、その動き、勁、どれもが正確に正解を得ている。
見ただけで相手の動きを自分のものにする能力。
これが、『格闘のA』大塚亮の保持する特殊技能。
《技能摸写(スキルダビング)》の力であった。