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崩山…ここは、普段は決して人が入らない場所。

何故ならここは、自然が造りたもうた天然の拳士の決闘場。

拳の道を志す者なら、この山の神聖さを知らない者はいない。

この山に同時に存在できるのは二人だけ、観客もいない、邪魔も入らない、究極の1対1の決闘場なのだ。

………

亮が山頂にたどり着くと、一人、その美しさとは裏腹に、むせ返るような獣臭を身に纏った者がいた。

「お前が…燕小龍、か?」

「ああ、そうだよ」

「まさか女とは………
いや、男か?」

「男だよ
まぁ、そんなことはどうでもいいじゃないか」

「いや、オメェのことはもう、何があろうとブン殴るって決めてた…
女は殴らねぇ主義だからな
よかったぜ…主義を破ることにならなくて」

「おや?意外に冷静だな
お友達があんなことになったというのに…」

「頭に来てるさ…
ただし、俺自身にな」

「なに?」

「あいつが怪我したのは、俺の見通しが甘かったせいだ
一人で行動させちまったから…あんなことになっちまった
だがまぁ、起きちまったことは仕方ねぇさ…
だからよ、とりあえずオメェをブン殴ることにした」

「だからって…支離滅裂だ
話繋がってないぞ」

「いんだよ、100パー八つ当たりだ!
有り難く貰っとけや!」

「ククク、げに面白い…
今回は当たりだな」