「亮…彼帰っテ来…た…カ………」
劉は、それ以上の言葉を繋げることができなかった。
傷付いた貫を抱き抱え、道場へと帰って来た亮の、その、余りにも凶々しい殺気に、言葉を阻まれた。
「老師………堀田を頼みます」
「う、うん…
…わ!これハ酷い…
早く医者ヲ…
…っテ、亮、どこヘ?」
「燕小龍…奴を…倒しに行きます」
「行くっテどこへ……」
返答はなし、亮の頭の中では、既に「スイッチ」が入っている。
亮を追おうと貫を地面に下ろした時、劉はソレに気が付いた。
傷だらけの堀田貫…その、彼の背中に、刃物で書かれた文章があることに…。
そこには『崩山で待つ 燕小龍』と、中国語で書かれていた。
「………」
猛る亮をもう追おうとはせず、劉は、静かに亮の背中を見送った。