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「遅ぇなぁ…堀田の奴」

イライラと、腕組みした腕を指でトントンと叩きながら、亮は道場の壁に寄り掛かって貫の帰りを待っていた。

朝、散歩すると言って出掛けた貫が、15時を過ぎても帰って来ない…流石に心配になった亮は、道場の扉の近くの壁で待つことにしたのだ。

扉の前で待たない辺り、実に亮らしい、心配していたと貫に悟られるのがしゃくなのだろう。

そんな亮の意地っ張りが、貫の発見を遅らせることになった。

数時間後、流石に痺れを切らして外へ出た亮の目に飛び込んで来たものは…道場の前にある電信柱、それに、あたかもマリオネットのようにロープで吊されている堀田の姿だった。

「っ!!!
堀田ぁぁーー!!!」

直ぐさま駆け寄り下ろしてやる。

「くっ………ひでぇ」

貫の身体は、右腕は複雑骨折、全身の関節を外され、身動き一つできない状態にされていた。

顎も外されていたので、声を出すこともできなかったようだ…。

だが、不幸中の幸いにして、命にだけは別状はなかった…。