間近で見たその人物は、本当に美しかった…。

やや切れ長の目、透き通るように白い肌、何よりも眩しい長髪の金髪、スラリとしたスマートな身体…男か女かわからないが、とにかく、美しいという形容詞が当て嵌まる。

「貴方が、日本から来た劉老師の客人ですか?」

いきなりの穿った質問…だが、その余りにも美しい、天上の鈴のような声に聞き惚れて、疑う、という発想は、貫の頭の中には浮かんで来なかった。

なので、「ええ、はい」と、間抜け面で、素直に返事を返してしまった。

「ふぅん、やっぱそうなのか
………じゃあ、まだ別にいるんだな
…こいつじゃ弱過ぎる」

ため息混じりに語るその言葉を、貫は聞いていなかった…。

否、聞くことができなかったのだ。

何故なら、突然彼の右腕を襲った、激し過ぎる激痛!

他人と会話をしている余裕等ない!

恐る恐る見た自分の右腕は…、本来曲がり得ない方向に、綺麗にUの字を描いて、グニャリと大きく折れ曲がっていた。

「ヒッ!!………
、、、、、、、、!!!」

余りにも鋭すぎる鮮烈な痛みは…、貫に気絶することも、悲鳴を上げることも許さなかった…。

「がっ、、、な…
あ、アンタ…誰……だ…」

つま先から頭のてっぺんまで、全力疾走で往復する激しい痛みの奔流に耐え、どうにかこうにかそう喋った。

「そうか、顔まではわからないよな…
でもまぁ、名前位は知ってるだろう?
己(オレ)が、燕小龍だ」