「アァー〜ッハハハハ!
…デリシャステッキ!!」

「おおっ!?」

怪盗ジャムがマントの中から、ジャン!と取り出したのは…ジェントルメン御用達の素敵なステッキ。

「こいつの先っぽをクルクルキュポン、とやれば…
ホーラ、あっという間に素敵なサーベルに早変わり♪」

「…仕込み杖か」

怪盗がステッキの先端部分を指でクルクルと回すと、キャップが外れ、中から鋭利な刃物が顔を覗かせた。

「君と遊ぶのは非常に楽しいんだが…
そろそろ、邪魔者が来そうなのでね…」

チラリ、と屋上から眼下を見下ろして、バタバタと慌てふためく隊員達を確認する。

「悪いけど…
早々に終わらさせて貰うよ」

「ヘッ面白ぇ、やってみろよ」

「では、お言葉に甘えて…」

またもやマントの中から、ジャン!と取り出したのは、小さな瓶。

その蓋を開け、ステッキの先端を中に浸す。

「てめぇ、それは…」

「…ああ、安心したまえ
ジャムではない」
「いやいや!
それはわかってるし!」

「アァー〜ッハハハハ!
ジョーク!
イッツ怪盗ジョーク!!」

「………つまんねぇ」

「…フゥ〜ム?
少し難し過ぎたかな?
…ま、そんなことより、瓶の中身は睡眠薬だ
僅か1mgで、シロナガスクジラを昏倒させる代物さ」

「……試したことあんのか?」

「……ヘ?」

「いや、よくそういうの聞くけどさ、実際のトコどうなの?
本当にクジラが寝るか試したのか?」

「………
………
………
さぁ、勝負の続きといこうじゃないか!!」

「試してないわけね
ま、どうでもいいけど…」