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ここは、とある高層ビルの屋上。
その屋上で待機していた狙撃手は、自分の相棒――ライフル銃――のスコープを覗き込みながら、一人驚嘆の声を上げていた。
「うっそぉ…
つかポンの攻撃をあんなに避け続けるなんて…」
目にも止まらない速さで、烈火のごとき攻撃を繰り出し続ける亮。
それを、紙一枚スレスレの距離だけ残して、華麗に躱しきるタキシード姿の金髪の怪盗。
「………しかも笑ってるし」
常人なら、既に軽く三桁は死ねているであろう攻撃を、ただ躱すだけで驚嘆に値するというのに、あまつさえ余裕の笑み…否、高笑いをしているのだ。
怪盗ジャム、予想以上の能力の持ち主のようだ。
「あんなに速く動かれちゃ撃てねっつうの、あの馬鹿
…ま、こんな状況でも、見事に的中させちゃうのが、私なんだけどね」
髪に挿した、桃の花の簪(かんざし)に手を当てて、集中の集中による集中で、集中力を上げられるだけ上げまくる。
研ぎ澄まされた一振りのナイフと化した狙撃手は、狙撃のタイミングを見計らいながら、食い入るようにスコープを覗き込み直した。