「さて、俺が用があんのは、オメェのくっさい脇に抱えられてるソレなんだが…
黙ってソレ、置いて帰っちゃくれねぇよな?」

「それは…ちょっと無理な相談だね
ちなみに脇は臭くないよ、嗅いでみるぅ?」

「いや…いい」

と、亮は顔をしかめる。

「ま、言うこと聞いてくれないんなら仕方ねぇよなぁ、あぁ仕方ねぇ
力ずくでいくっきゃねぇよなぁ……」

ワキワキと指を動かし、楽しくて仕方がないという笑みを浮かべ、亮は前掲姿勢になる。

怪盗ジャムのたたずまいだけで、亮は敵の力量を見抜き、これから始まるであろう素晴らしい戦いに胸躍らせる。

「強引に、か
強盗と変わらんぞ」

「ヘッ、コソドロにとやかく言われる筋合いはねぇよ」

「コソ!……わかってないな、もはや芸術なのだよ、コレは!」

「ゴタクはいい!
とっととおっ始めようぜ!
久々に楽しい喧嘩ができそうだ!」

待ち切れないといった感じで、亮はジャムに襲い掛かる。

「フフ、来たまえ、相手をしよう」

余裕な表情でジャムは手招きし、腰を軽く沈め襲撃に備えた。