「では次は大塚さん」

「応!」

「大塚さんは美術館屋上で待機しておいて下さい
怪盗ジャムは、今までのデータから高い確率で、盗みが成功した後、どこかの建物の屋上に立って一演説しています
恐らく今回も、屋上に現れるものと見て間違いないでしょう
奴が現れたら、大塚さん、後は頼みます」

「任せとけ」

「……綾瀬さん、綾瀬さんはそちらで美術館周辺を監視しておいて下さい
恐らく、綾瀬さんの力を借りる時が来ると思われますので、気を抜かないようにお願いします」

[はいです]

「堀田、私はどうするんだ」

「所長には大塚さんのサポートをお願いできますか?
所長も美術館屋上で待機しておいて下さい」

「フーー
わぁったよ」

口から白煙を出しながら、片手を上げてけだるげに答える響子。

「あ、敵に見付かりますから、禁煙ですよ?」

「なにっ!?
〜〜〜!
……パス今回、私ゃ帰る」

「ちょっ!
何言ってんですか!
あんな危険な物まねまでして、そそられたなんて言ってたくせに!」

「いや〜でも禁煙はな〜」

「堀田君、所長から煙草を取り上げるのは、あまりに酷というものですよ」

(……鷹橋さんは所長に甘いんだよなぁ……)

と、そう考えながらジト目をする貫。

「わかりました、じゃあ、所長は美術館前で待機
何かあったらそこに応援に行く、という形にしましょう」

「やった!
堀田!愛してるぞ!」

「ハハハ、ワーイ
ウレシイナ」

「マメタロウ棒読みだよ……」

「ところで、今回の作戦、既に盗まれてしまったものを取り返す、といったもののようですが……」

「ああ、それなんですけどね
盗る盗らせないってやり取りは、あちらさんに一日の長があるんですよ
そんな不利な攻防に挑むよりは、こちらのポテンシャルを最大限に引き出した方が、勝率は上がると踏みました」

「なるほど……失礼、作戦立案は堀田君に全面的に任せるべきですね」

「いえ、気にしてませんよ」

「よぉし!もうなんもないな?
作戦も決まったことだし、各自言われた場所で待機だ!」