至福の時を邪魔され、苛立ちと共に一輝は振り返る。

そこにいたのは、ヨロヨロと、かろうじて立てている貫だった。

「アンタがしたかったのは…こんなことだったのか?」

「………」

「こんなことが、母さんと僕よりも大切なことだったのか!?」

「こんなこと…ではない
この退屈な世界に刺激と混沌を与えること…
これは、私の全てだ」

迷いなくそう言い放つ一輝を見る貫の眼に、怒りが宿る。

「アンタがしたことは、革命でもなんでもない…
ただ、穏やかに暮らしていた人達の生活を、いたずらにかき乱しただけだ!」

「そうかもしれん
だが、それが何か問題があるか?」

「なっ?!」

「私は、世界中の人々の為に革命を起こそうとしたわけではない
ただ、このような世界を、“私自身”が望んだから、こうしたのだ
他人の迷惑等、知ったことではない…」

「呆れた
そんなの、ただのわがままだ」

「そう、これは私のエゴだ」

キッパリと言い放った一輝を見て、貫の目が変わった。

「全てが…アンタの思い通りにいくと思うなよ!」

「いくさ
現に世界は、今変わっている最中だ」

「まだだ、まだ遅くはない
僕が…いや、僕達が、アンタの好きにはさせない!」