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テレビ画面の前に、両手を合わせ祈るように、膝立ちする青年が一人。

青年の瞳からは、とめどなく涙が流れ、青年の身体は、歓喜に打ち震えていた。

「信じられない…
神様は、本当にいたんだ」

先程の演説を見て青年は、一輝の姿に神を見た。

青年は、ついほんの一瞬前まで、自殺をしようと考えていた。

そんな自分を奇跡のタイミングで救い、ドラマチックに啓示を言い渡す神様。

日本という信心薄い国に生まれ育った青年は、一体どう敬意を表せばいいのかわからなくなり…。

とりあえず、映画や何かで見聞きしたことがある、クリスチャンの真似事をした。

イエス像は中古の安テレビで、厳かな礼拝堂は、一月幾らかのマッチ箱のようなマンションの一室だったが。

涙を流しながら祈りを捧げる青年の姿は、ただただ神々しかった。