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「あきゃきゃきゃきゃ!」
激動の中、およそ人の物とは思えない笑い声が響き渡る。
伸ばしっぱなしの黒の長髪に、ガリガリに痩せ細った身体。
そして、フレームが上しかない黒縁の眼鏡。
この男は、一輝から何か事前に説明を受けたわけではなかった。
ただ、日々溜めに溜めたストレスが、先程の一輝の演説で、決壊したダムの水のように、大量に溢れ出したのだ。
「あきゃきゃきゃきゃ!」
笑いながら、男がその手を振るうと、次々と爆発が起こる。
爆弾狂…それが男の本性。
男は常に思っていた、全てを爆破したいと。
そうして作り貯めていた手製の爆弾達、だが、実際に使う勇気等、この小悪党にある筈がなくお蔵入りしていた。
それらが、遂に日の目を見たというわけだ。
「あきゃきゃきゃきゃ!」
爆発の火花を見ながら、男は心底楽しそうに笑う。