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極東の島国の都心、文明に毒されたこの街に、一羽の金色の蝶が舞い降りる。

それは、ビルからビルに軽やかに優雅に飛び移る。

その身体に纏った黒い長いマントが、あたかも蝶の羽のように羽ばたく。

それは、この街で最も高いビルの屋上に降り立った。

「闇夜に降り立つ金色の蝶…
はじめまして皆様方!
今宵今晩この時から、世間を騒がすこと間違いなし!
この、味気無い食パンのような世界に、刺激を与えるジャムのような存在…
そう!
私こそが神出鬼没の超怪盗!
――怪盗ジャム!
アァー〜ッハハハハ!
よろしく諸君!」

明らかに人々には聞こえていない、演説の場所が高過ぎた。

完全にポジション取りをミスっている。

が、そんなことはお構いなしと、至極ご満悦な様子の彼。

殺しという裏の世界で生きて来た彼にとって、例え顔を隠していても、培った力を表の世界で活かせるという喜びは大きかったのだろう。